教え方の先生 ― ブルーノ・ムナーリ―

絵を教えたらピカイチの、ブルーノ先生

イタリア・ミラノ出身の世界的アーティストで知られる、ブルーノ・ムナーリ氏の著書に、『木をかこう』があります。
こちらは、「教える」ということを仕事にする方、している方には、是非一度、読んでいただきたい良書です。

「木の描き方」を、斬新な視点で捉え、説明している本ですが、その切り口が「教え方」の大きなヒントになります。
例えば、こんな文章があります。

絵がへたで、ぜんぜん、なにもかけない、というひとがいるかもしれない。(中略)
おとなのなかには、ほんとうはかきたいのだけれど、へたではずかしいから、かかないというひとも、います。
そのひと、きいてください。

このあと、「絵が描けない」という大人に向けた温かなメッセージが綴られます。
絵が描けないといっても、「ABC」なら書けるでしょうと。その中の「Y」を書いてごらんという訳です。
その「Y」を繋げていくと、「ほら、木が描けたでしょう」と。


(『木をかこう』P.85にある「Y」を繋げて木を描く図)

ブルーノ先生は、このように、「教える」とは本来こうあるべき、と優しく諭してくれています。
習う側の「分からないところ」「つまづいているところ」を、しっかり見極め、その同じ目線に立って、適切なアドバイスをする。
こんなこと、できていますか?

今、教えている方、これから教える側になろうという方、是非、この本を手に取ってみてください。
これまで悩んでいた、「教えるって何だろう」の、ヒントが見つかるかもしれませんよ。